臨床としてのデザイン

Design as Clinical Practice

D4H にとってのフィールドは、臨床現場である。遺産の診察は机上ではなく、身体に直接触れるように始まる。3DスキャンはCTであり、風況解析は呼吸機能検査のようなものである。非侵襲的に「いまの状態」を明らかにすることがまず必要になる。「なぜ歪んでいるのか」「どう風が抜けるのか」を問うことが思考の始まりであり、診るという行為そのものがデザインである。ここで重要なのは「最小限介入(minimumintervention)」の原則である。遺産を人体のように扱い、不可逆な処置を避け、本当に必要なことを見極める。現場に立ち会い、身体スケールで診断する、その臨床的アプローチの積み重ねがD4Hの実践である。

補強前構造解析
大きく傾斜した壁も根元から解体せず、油圧ジャッキにより立て起こし、天端付近の浮いた石の部分解体修理と風化の進んだ目地の詰め直しにとどめ、廃墟としての現状を保存することとし、あくまでも「復元」は行わないという方針のもと設計を進めた。変異の大きい東面の石積は開口上部のまぐさレベルに鉄骨臥梁を仕込み補強。
大平エリアの風況解析台風による海からの強風によって仮説の素屋根が被害を受けた経緯から実施した。その結果、主構造を木造軸組+鉄骨フィーレンディールから、鋼管柱+集成材格子梁に変更。軒高を下げ、軒の出をなくし、ポスト柱の追加といった変更を行った。
大平エリアの2004 年(右)と1947 年(右)の植生調査かつては一面畑として開墾されていたが、時間の経過と共に森にかえってしまっていた。広
域で見ると昔に比べ一帯の風速は落ちるが、スケールを上げて見ると再開墾したことで作業場跡周辺だけが裸地として残り、地表付近の風速はむしろ上昇する傾向が見られた。

測量・調査機器一覧

形をとらえる

測量三次元レーザー測量機Leica RTC3601台
トータルステーションTS16 I 3" R1000, imaging total station1台
写真測量用ドローンDJI-Phantom 4 RTK1台
GNSSステーションDJI-D-RTK21台
高精度GNSS受信機内蔵対空標識エアロボマーカー(AS-GM01)4台
オートベルNikon AE-71台
レーザー墨出し機Bosch GLL8-40E1台
三脚Leica 高精度木製三脚2台
Myzox 高精度木製三脚1台
軽量木製三脚4台
整準台Myzox4台
図化用ペンタブレットXP-pen Artist241台

流れをとらえる

水文観測気圧/温度計S&DL mini バロメータ1台
絶対圧水位計S&DL mini 4900(大気圧)5台

力をとらえる

地盤調査貫入試験機簡易動的コーン貫入試験機1台

時間をとらえる

撮影動画/静止画撮影カメラGo Pro HERO 101台
FUJIFILM XT-31台
Lumix DC-FT7-K1台
360°カメラnsta 360 X21台
カメラジンバルDJI RS 3 Mini1台